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秋田犬の数奇な運命と今の繁栄


 秋田犬は、天然記念物に指定されている「国犬」です。かつては「大館犬」とも呼ばれました。が、発祥地といわれる大館地方にいつの時代から住み着き、あるいは誕生し、飼育され始めたのかはあまり知られていません。ただ、狩猟に欠くことのできない存在だったことは定説となっています。また、戦乱の世には番犬としても大きな役割を果たしていたともいわれます。

 時代の変遷とともに秋田犬の位置づけも徐々に変わり、徳川時代に入ってからは闘犬として、大きさや強さが求められるようになりました。さらに明治後期には闘犬としての役割が確固たるものになり、大館には闘犬場が常設されるほどでした。大正期には闘犬ブームが一層加熱し、興行化されるに至ったのです。

 闘犬は、当然のことながら美しさではなく、強さのみが要求されます。強くするために、土佐犬を含む種々雑多な犬種の交配を重ねるにつれて秋田犬は純粋さを失い、雑種化の途をたどりました。その方向性を唯一是正してくれたのが、動植物の天然記念物指定保存に対する世論の高まりです。大正8年、関係法律が日本の伝統的名勝史跡とともに制定されました。

 マタギの友としての猟犬、乱世の中での番犬、そして金儲けの道具にまでされた闘犬の時代と、数奇な運命をたどった秋田犬は、調査を重ねた末、昭和6年7月31日、天然記念物に指定されました。日本犬第1号の指定です。

 それまでも秋田犬は全国に知られていたのですが、決定づけたのは何といっても忠犬ハチ公の"登場"です。昭和7年10月。有力新聞の社会面に載ったハチ公の記事は、瞬く間に全国の多くの人の胸を打ちました。「渋谷のハチ公前」といえば、待ち合わせ場所の定番です。

 ハチ公がどんなふうに「忠犬」だったのかを知らない人は多いかも知れませんが、その名を知らない日本人はいない、といっても過言ではないでしょう。「Hachiko」は海外でも有名です。秋田犬の質も改良を重ねて向上し、より純粋度の高いものになり、今や揺るぎない"地位"を確立しています。

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