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迎える心構え1

 他ページの内容と重複する部分があるかも知れませんが、このコーナーでは初めて秋田犬と暮らしたいと考えている皆さんにとって、事前にどのような心構えが必要か、などに触れてみたいと思います。今回は、ご近所さんとの関係性について論じてみましょう。

 本題に入る前に申し上げておきたいのは、秋田犬と生活をともにするには大なり小なり苦労を伴うということです。無論、小型犬、中型犬にもそれぞれ飼育上のむずかしさはありますが、秋田犬は小型、中型犬に比べて体がとても大きくなり力も強いため、「ちょっと飼ってみるか」といった安易な気持ちで迎えられる犬種ではありません。

 古めかしい表現をあえて使うなら、秋田犬と暮らすなら「腹をくくる」必要があります。もしそれができないなら、やがて「自分が思い描いていたのと違う」となりかねませんので、秋田犬を家族の一員にすることを今一度熟慮し直した方がいいかも知れません。

 大変なのに、なぜ秋田犬と暮らすのか。理由は明快です。秋田犬は、苦労に見合うだけの、または、それ以上の幸福や"ドラマ"を家族に与えてくれるからです。「うちのラブラドールだったそうだよ」「うちのシェパードだってそうよ」とおっしゃる方がいるか知れませんが、もちろんそうです。ただ、この場では秋田犬のみを論じている、とご承知おきください。

 当クラブは2000年から国内外の多くの皆さんに秋田犬をお迎えいただいておりますが、迎えた後に後悔した方は皆無であると自負しており、それぞれの思いとともに秋田犬を愛し、慈しみ、どなたも心から満足しておられると信じています。

 その中で三重県にお住いのOさんは「もう13歳(2018年現在)になるが、毎日元気に暮らしている。いつかR(愛犬の名前の頭文字)がいなくなるなんて、想像すらできない」とおっしゃいます。日一日と愛情は深まり、ともに暮らし始めた秋田犬はやがてかけがえのない存在になっていきます。

 では、今回の本題に入りましょう。「向こう三軒両隣」という表現がありますが、ご近所さんとの関係が良好かどうか、険悪だったりいがみあったりしていないか。秋田犬を迎えるにあたり、これはとても重要です。

 多くの方は生後50-70日の子犬を迎えますが、親から引き離されたばかり子の中には三日三晩鳴き明かす子がいます。涙を流さないまでも、それは「鳴く」というより、「泣く」と形容する方がふさわしいかも知れません。母親やきょうだいたちから引き離され、まったく知らない世界に連れて来られ、不安で、寂しくてたまらないのです。初めて迎えられた方にとって、その鳴き声は最初の"試練"となり、夜中などは寝かせてくれないことさえあります。叱りつけたとしても、その意味すら判らないため、鳴きやみません。初日からまったく鳴かない子もいますが、むしろそれは少数派でしょう。

 そうした最初の"試練"にめげてしまうかも知れませんし、あまりにも鳴きやまないため、秋田犬を迎えたことを後悔してしまうかも知れません。そのような状況に直面した際、「夜はどなたかの姿の見えるようにして寝てあげてください。少しは不安や寂しさが紛れ、鳴きやむ子もいます」と、当クラブは助言させていただいております。

 家の造りや状況によっては、迎えた子の鳴き声が隣近所に聞こえる可能性があります。そこで大切なのが、「向こう三軒両隣」とのふだんからのつきあいです。ご近所さんとのつきあいが希薄になりがちなごのご時世ですから、お向かいさん、そしてお隣さんと一切、会話は無論、あいさつすらしないという方もいるかも知れません。

 喧嘩やいがみあうほどではないにしろ、近所づきあいがまったくないと、本来なら子犬の鳴き声ひとつでも大目にみてもらえるのに、無言のまま保健所や市町村の役所に"騒音"として相談されてしまうことすらあります。そうなると、保健所や行政による指導が入り、最悪の場合、せっかく迎えた子との生活を断念せざるを得なくなる可能性も出てきます。

 秋田犬発祥地の大館市にも、近所とトラブル続きで保健所にたびたび苦情を申し立てられているにもかかわらず、コミュニケーションの努力をせぬまま飼育を続けているベテランがおります。こうした状況は最悪で、秋田犬のイメージをも損ねます。理解や協力を得る意味でも、最低限、「向こう三軒両隣」と良好な関係を築いておく必要があり、迎えた秋田犬がやがて近所の人気者になるぐらいの関係性が理想の姿です。

 秋田犬は、迎えられたご家族の皆さんとともに呼吸をし、生きています。当然、喜怒哀楽もあり、声を発します。躾(しつけ)の仕方を誤ると、吠え癖がつくかも知れません。そうした場合、隣近所とまったく交流がない、またはいがみあうなどの関係にあると、いつかは悪い事態に陥る可能性があります。これは秋田犬に限ったことではなく、犬を家族の一員とする皆さんすべてに言えることでしょう。

 もし、隣近所との関係がとても希薄または険悪にもかかわらず、秋田犬と生活を共にしたい皆さんは、事前にこれを改善しておくことをお奨めいたします。少なくともお向かいさんとお隣さんには「今度、秋田犬を迎えますので、よろしくお願いします」といったあいさつを事前にしておければ、それだけでも大きな効果があります。もしかすれば「秋田犬ですか、いいですね」などと、迎える前から会話が弾むかも知れません。

 秋田犬の存在が鎹(かすがい)となって希薄だった隣近所と交流が深まる場合もありますが、これまで一切コミュニケーションがなかった状態では、最初からそうした期待は持たない方がよろしいかと思います。「うちで飼う犬だし。近所なんて関係ない」という気持ちは、くれぐれも持たないでいただきたいものです。

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