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これぞ秋田の虎の顔

 優れた虎を作り出すのは赤や白以上にむずかしい、とは熟練者の口からよく聞かれる言である。無論、優れた秋田犬を作りあげるのは色に関係なく至難の技なのだが、その中で最も根気を要するのは、やはり虎だろう。虎は顔、構成などさまざまな要素に加え、赤や白以上に色バランスも求められる。

 苦心の末、良い色が出たかと思えば、顔に満足がいかない。逆も然りで、良い顔を作りあげたかと思えば、色に納得がいかない。優れた虎の繁殖に長年情熱を傾けてきた熟練者には、常にそのジレンマがついてまわる。すべてを兼ね備えた虎を作りあげるのは不可能、といっても過言ではないほど、虎はむずかしい。どこまで行っても到達点に届かぬほど奥が深いのだ。

 このコーナーでは、1頭の虎の顔を2枚の写真で紹介してみよう。彼は秋田県で生まれ育った。有名な犬であるため名前は伏せるが、虎1本に取り組んできた全国の熟練者の中には、「いつかこんな虎を作りたいものだ」と、この姿にため息が出る方もいるのではなかろうか。

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これだけの顔、そしてこれだけの色を併せ持った虎は珍しい。無論、展覧会では圧倒的な強さを見せる。

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秋田犬のオスの理想的な顔の表現に、「古武士のような」という言い回しがある。眼の奥には静けさすらたたえているが、北国ならでは芯の強さが秘められている。闇の中でうねる吹雪のごとき白黒のコントラストも絶妙だ。これほどの虎には、たやすくお目にかかれるものではない。
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