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カメラスケッチ(4)
 カメラスケッチ(1)では、夏場に生まれた子犬たちと母親を紹介していますが、真冬に出産した場合、犬舎内のたたずまいは夏場と異なります。もちろん暖かい地方はこうではないでしょうが、秋田県大館市のベテラン犬舎の様子をご紹介しましょう。

 秋田犬はさすがに北国の当地原産とあって雪が大好きで、吹雪の中でも生き生きと走り回ります。しかし、犬舎内にまで雪が入り込むという環境、つまり吹きさらしの状態は好ましくありません。それで、犬舎から後方の景色が見えるカメラスケッチ(1)と異なり、真冬は厚い毛布などで犬舎の一部を覆うこともあります。

 これに加え、生まれたばかりの子犬たちに暖を取るために出産後、昼夜20日間ほどワット数の高い電球を点灯し、一部ではなく犬舎の四方を覆います。これにより、犬舎内は外が氷点下でも暖かくなります。母親が子犬を窒息させたり、誤って踏みつけたりする事故も、生じにくくなります。これだけの明るさで夜中も点灯していれば、人間なら明るすぎて眠れないかも知れませんが、犬たちには一向に気になりません。→

 暖を取るのにもう一つとても心強いものが、ワラです。左横と上の2枚の写真からもお分かりいだけるように、ワラはふんだんに敷いてあげます。子犬の出産の有無に関係なく、真冬にたくさんのワラを敷くことで、ご覧のように生まれてまだ1週間の子犬たちも気持ちよさそうです。

 ワラを敷くメリットは、暖かさのほかに体を清潔に保てる、歯磨き効果がある、などが挙げられます。北国では雪の季節はなかなか犬を洗ってやることができませんが、ワラの上に座ったり寝たりすることにより、ほとんど体臭が出ません。毛にツヤが出るほどです。

 また、ワラを敷いてやると、口臭がしません。たまに口に含んだりしているのでしょう。さらに、尿や便を中にしても、ワラを交換するだけで済み、衛生的です。

 ワラは一冬同じものを敷きっ放しにするのではなく、汚れ具合などを観察しながら換えてやれば、なお好ましいでしょう。ただ、稲作農家ならワラを簡単に用意できますが、それ以外の家庭にはややむずかしいかも知れません。犬舎内へのワラ敷きを実践してみたいオーナーの皆さんは、農家と親しくなるなど確保に工夫してみてください。

 生まれて間もない子犬たちは、1日中母親と一緒におり、父親と過ごす機会はありません。というより、ベテランオーナーともなりますと、父母とも同じオーナー犬舎にいることはそれほど多くはなく、むしろオスを別のオーナーのメスと、メスを別のオーナーのオスと交配するのが一般的です。

 写真のベテランオーナー犬舎では父母がまったく違う血統のため、隣り同士の犬舎に住んでいます。このため、こうして父親と子犬が対面できます。双方初対面なのに、匂いで分かるのでしょう。どちらも穏やかな表情で見つめていました。生まれて1週間だと、眼は豆粒のようで、体格も大きな鼠ほどです。

 左の写真の子が、生まれて2週間経ち、少しずつ子犬らしくなってきました。周囲には数十センチの雪が降り積もっているのですが、もちろん寒さはへっちゃらです。こんなに小さな子が、ほんの数カ月で驚くほどの大きさになるのですから、生命の偉大さを感じさせます。
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