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相棒の効果

 皮膚の赤みが取れない、痒(かゆ)がるといった愛犬の症状に悩む飼育者は、秋田犬の場合も少なくありません。獣医師の治療を受けたり、ドッグフードをいろいろと替えてみたり、中には獣医師が奨めるドッグフードを試用してみる方も多いのですが、それで改善されるかといえば大方はそうでもないようです。

 秋田犬の皮膚疾患は、ドッグフードのチョイスや与え方に根本的な誤りがある場合、ダニなどの害虫やハウスダストによる場合、過度にストレスを溜め込んでしまった場合などが、原因として考えられます。このコーナーでは、ストレスによる場合に触れてみましょう。ここで紹介するのは、当地の大ベテランオーナーが長年の経験に基づいて確信に至ったものです。

 犬も人間と同様、さまざまなストレスにさらされています。趣味の時間をもつなど、人間はみずからの力である程度ストレスを和らげることができますが、犬は人間が対策を講じてあげない限り、ストレスから解放されるのはむずかしいといえます。ストレスの原因も多岐にわたりますが、この中で最も心配される一つを挙げてみましょう。

 日中、秋田犬に接してやれる家人が誰もいない場合、犬は誰ともかかわることなく、ほとんど変化のない時間を延々過ごさなくてはなりません。共働き夫婦だけの世帯が、最たる例です。誰かが日中家にいて接してやれる環境ならいいのですが、日中"ほったらかし"の状態ではストレスが蓄積し、「やがてそれが皮膚炎などの形で表れることがある」と、前述の大ベテランオーナーは指摘します。

 そうした状況を少しでも紛らわすため、犬用の玩具を与えている方も多いのですが、それさえ与えておけば"孤独"が癒される、などという単純なものではありません。ひとりで長時間いることは、秋田犬にも少なからずストレスを強いていることになり、沈黙の悲鳴、として皮膚疾患を誘発させてしまうこともあるというわけです。

 そうした状況下でしか秋田犬を飼育できない方々にとって、孤独のストレスから解消してやれる有効な方法があります。相棒を迎えることです。といってもゴールデンレトリバーや柴犬、チワワなど別犬種はではなく、秋田犬には秋田犬です。同性でも構いませんし、年齢差があっても特に問題はありません。つまり、同じ秋田犬が相棒としていつも一緒にいることがストレスの解消、予防にきわめて大きな役割を果たすのです。無論これは、ある程度資金的に余裕がないとできませんが、大切な家族の一員である秋田犬のストレスを解消し、少しでも長く一緒に暮らしたいと願う方々にはお奨めしたい方法です。

 いかにすばらしい素質に恵まれた秋田犬でも、飼育方法を誤ると駄犬、ことによっては怪物にしてしまいます。多くの皆さんが陥っている失敗が過保護と溺愛。前述のベテランオーナーのもとを旅立った子犬が、成長して久しぶりに里帰りした際、こともあろうに前オーナーを威嚇する例がありました。典型的な過保護からくる管理の失敗です。前オーナーのことを忘れずにいる子は、再会した瞬間、我れを忘れて甘えるのが本来のあるべき形です。
 
 過保護、溺愛は自分がこの家の主、という間違った観念を持たせ、1度そうなった場合、軌道修正はむずかしいのですが、一つ"特効薬"があります。先のストレス解消と同様、相棒を迎えることです。過保護に育った犬は当初、相棒に対して焼きもちを焼いたりすることもありますが、しだいにその傾向は和らぎ、相棒とうまくつきあうようになります。

 相棒を迎えることで、規律への自覚を養うことも可能になります。また、我慢を覚えます。相棒の数が多いほど秋田犬がそこから学ぶ社会性は顕著なものがありますが、それは一般の秋田犬飼育者の現実に沿いませんので、相棒は1頭いれば十分でしょう。また、迎え入れたのが異性で、交配してメスが子を産んだ後、そのメスは母性本能の目覚めによって一気に"おとな"になり、性格がより穏やかになります。何度も出産させる必要はなく、最初の1度で効果を期待できます。無論、産まれた子たちをどうするのか、といった課題はありますが。

 中には、10頭近い種々雑多な犬種の中に秋田犬を入れ、秋田犬をだめにしてしまった例もありますので、犬ならば何でも一緒がいい、という考え方は禁物です。なお、ここで論じたことは秋田犬が特殊だということではなく、基本的にはどの犬種にもあてはまることです。秋田犬は、大型犬の中でも飼育しやすい部類に入り、子供の情操教育や成人、高齢者の健康維持にも大いに役立つというのが、当クラブや提携オーナーの皆さんの一致した考え方です。

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