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良い子を迎えるには

 秋田犬の子をお迎えになりたいご家族には、大きく分けて二つのタイプがあるようです。秋田犬の姿、形をしていて健康であればそれ以外はほとんどこだわらないタイプと、正統派の秋田犬にこだわりを持つタイプです。前者は低予算での迎え入れを希望なさる傾向がありますし、後者は予算面でも十分余裕をみる方が多いようです。

 病気や事故などなければ、迎え入れた子は10数年間、ご家族と暮らしをともにし、多くの面で精神的な支え、あるいは癒しの存在になってくれます。子犬時は外見に大差がないように見えても、前者のタイプで迎え入れた子と後者のタイプで迎え入れた子には、犬の成長とともに明確な違いが現われてきます。

「秋田犬の姿、形をしていればそれで良い」というスタンスで迎えられた子の中には、若犬、壮犬、成犬になるにつれて秋田犬独特の面立ちになるというより、どこか貧相な印象を与える犬がいたりします。体躯も本来あるべき秋田犬の大きさには至らず、秋田犬と柴犬の中間程度しかないものが見受けられます。これに対し、正統派の秋田犬は風格、優雅さ、ダイナミックさが際立っていきます。

 といっても、どれが正統派でどれがそうではないかについて、初めて秋田犬の子をお迎えになる場合、購入前に素人が見分けるのはほぼ不可能といえます。そこで、このページでは、子犬そのものというより販売者の良し悪しに対する判断材料となる点を、いくつか挙げてみましょう。

 まず、秋田犬は洋犬などと異なり、ペットショップやドッグショップではなかなか見かけません。秋田犬発祥地の秋田県大館市とその周辺ですら、ペットショップのショーケースやオリなどにいることはほとんどありません。お客様がペットショップに「秋田犬がほしいんです」と伝えて初めて取り寄せるのが通例です。

 その際、ペットショップ側に比較的多くみられるのは「秋田犬の子なら何でもいいから、早急に1匹まわしてほしい」とブリーダーに掛け合うケースです。「お客さんが心から満足してくれるすばらしい子を選んで」と希望するという話は当地ですらあまり聞いたことはありませんので、通常は「秋田犬の姿、形をしていれば何でも結構」のパターンです。正統派の秋田犬を求めたい方には、よほど親身になってくれるショップという確信を持てなければ、ペットショップで秋田犬の子を購入するのはお奨めできません。 ふだんから交流があるなど、信頼できるなら何も問題はないでしょう。

 次にオーナーやブリーダーから直接購入したい場合ですが、犬舎を訪問する際に何点か観察すべきことがあります。オーナーとの初対面の際、冷たそうだ、応対がぶっきらぼうだ、横柄だという印象を持ったとしたら、購入すべきかどうか、熟慮する必要があります。購入者の多くは、子犬を迎え入れた数カ月の間、飼育上のいろいろな課題に直面したりします。その際、電話などで快く課題解決に向けた回答を提示してくれるかどうかという点で、初対面の際に受けたオーナーへの印象はとても重要です。

 冷たそう、ぶっきらぼう、横柄のいずれかに当てはまる中には、何度か質問をしているうちに「今はもうあなたの犬なんだから、自分で勉強して何とかしなさいよ」などと突き放したする人がいます。その際、ただ単に答えるのが面倒な場合と、飼育に関する明確な知識や技術に乏しい場合に大別できますが、オーナーが秋田犬飼育に関するふんだんな知識と経験を持っていることは必要不可欠です。最初の訪問時にいろいろと質問を用意しておき、訊ねてみてください。面倒くさがらずにすらすら即答できる人なら安心して購入できますし、そうでない場合は後々そのオーナーに対して不満感を募らせることになりかねませんので、購入を見合わせた方が無難です。

 オーナーの秋田犬に対する愛情度を推し量る方法が一つあります。犬舎や秋田犬そのものに臭(にお)いがするかどうかをチェックしてください。犬舎や犬が無臭の場合は手入れが行き届いていることを示し、それだけ秋田犬に深い愛情を注いでいることを意味します。ひどい例だと、犬舎、犬ともに臭いがきついばかりか、犬舎内やその周囲が湿気でじめじめし、1回ごとに食べきりにしなくてはならないドッグフードを何時間も容器に入れたままにしている例もあります。そうした一連の状況は不衛生で、「この子はすばらしい血統だよ」とどれほどいい言葉を並べたてても、説得力がありません。そのような環境で暮らしている秋田犬は成犬であれ子犬であれ、どことなく沈んだ雰囲気を醸しています。環境の良い犬舎は、犬たちがはつらつとして躍動感があるため、一見して分かります。

 それから、良心的なオーナーは「この子はあまり体格が大きくならない血統なので、その点に了解いただけるなら購入になさってください」と、きちんと説明します。しかし、そうでないオーナーは極力その点に触れませんので、後々「秋田犬として迎えたのに、どうして大きくならないの?」ということになり、トラブルのもとになりかねません。

 皆さんには、多くの犬種の中から秋田犬をお選びいただくわけですから、「この子を選んで失敗した」「あのオーナーから購入しなければよかった」となってほしくはありません。散歩中などに、行き交う人々から「これが正真正銘の秋田犬ですね。すごいです」と感動される、そんな秋田犬をお迎えいただきたいと思います。

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