BANNER0808.JPG - 66,727BYTES

あるブログの誤解釈

  ありがたいことに、当クラブのお客様や熱心な読者の皆さんの中には、当クラブを誹謗中傷した掲示板や無断転載らしきものなどについて情報を寄せてくれる方々がいる。

 あるブログについて、「どうなんですかね、これ、こんな書かれ方をすればハチ公クラブが誤解されませんか」と耳打ちしてくれたお客様がいた。ご指摘のブログにアクセスしてみると、確かに、当クラブをご愛顧いただいている皆さんが読めば、「その解釈、違うだろう」と、とらえられても仕方がない。解釈が浅すぎるがゆえに、当クラブが「有無を言わせず高飛車だ」と受け止められかねない。そこで、当クラブの考え方をあらためて明確にさせていただく意味で、このブログを取り上げてみることにした。

 まずは、下記アドレスのサイトをご覧いただきたい。

http://gyakutenn.hatenablog.com/entry/2018/03/01/%E7%A7%8B%E7%94%B0%E7%8A%AC%E3%81%AF%E3%81%84%E3%81%A4%E3%81%8B%E3%82%89%E3%80%8C%E3%81%82%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%AC%E3%80%8D%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B%EF%BC%9F

 このブログは「秋田犬はいつから『あきたいぬ』になったのか?」をテーマに、2018年3月1日にアップした。当クラブやNHKの考え方などを取り上げ、巻末付近で「まあ、どっちでもいいんだけど」とする一方で、自分は「あきたけん」の呼び方で通すと主張し、飼っている犬がチワワであることを明かしている。

 ブログには、自分の氏名などを明示しているものと、まったく正体の判らないものがある。「むー」というハンドルネームを使っている40代らしきこの男性に関する情報は、元イラストレーターで、ADHD(注意欠陥・多動性障害)傾向があり、これまでブラック企業を渡り歩き、手取り20万円で週休1日の企業にいることに疑問をいだき、自らを「おっさん」と呼ぶのを好むらしいということ。 つまり、それだけでは誰なのか判らない、正体不明の"ブロガー"ということになる

 では、本題に入りたい。「むー」なるこの人物は、当クラブの「犬(いぬ)と犬(けん)」のサイトアドレスをブログ内に貼り付け、当クラブがいくつかの角度から秋田犬の呼び方について論じたにもかかわらず、ほんの1行のみをとらえて「趣旨見つけたり」とばかりに勝手な解釈をしている。

 ちなみに、「むー」が目をつけた当クラブの本文は以下の部分である。

 県外から秋田犬の見学に訪れた人が「この、あきたけんの子、可愛いですね」というと、土地のオーナーは「あきたいぬと呼ぶんだよ」と訂正してみせます。なぜ秋田犬が「けん」ではなく「いぬ」なのか、秋田犬発祥地に住んでいる人々にとって「なぜ」はそれほど重要なことではなく、「そう呼ぶ」ことが「当たり前」なのです。例えは飛躍しますが、1+1=2に対して数学者は「なぜ」に言及しますが、一般の人は「だって、そうなんだもの」で事足ります。「あきたいぬ」もそれに近いのではないでしょうか。

 発祥地での長い歴史の中で寸分の狂いもなくそう呼び続けているもの、それすなわち、正式名称と呼ばずして何と呼ぶのだろうか。秋田犬に限らず、全国各地の土地の名産品や地名、天然記念物などさまざまなものにあてはまる。つまり、秋田犬を発祥地のほぼ全市民がブレることなく「あきたいぬ」と呼び続けてきたにもかかわらず、「いや、あきたいぬではない」と反論する余地があるのだろうか。

 しかし、自ら「あきたけん」と呼び続けてきた「むー」なる人物は、当クラブの論理展開に「なるほど」などと一定の理解を示したようにみせながらも、さながら「正論をかざしてるんだから反論すんな、とハチ公クラブに言われているみたい」という趣旨の不満げな結び方をしている。

 当クラブは当該ページで主義主張しているのではなく、「秋田犬発祥地、大館とその周辺では『あきたいぬ』と呼び続けているんですよ」と紹介しているにとどめていることを、「むー」は明確に理解していない。

 1+1=2に対して数学者は「なぜ」に言及しますが、一般の人は「だって、そうなんだもの」で事足ります。「あきたいぬ」もそれに近いのではないでしょうか。

 上記内容について、「1+1=2」以外の例えを挙げてみたい。全国に数多くある村は「〇〇むら」「〇〇そん」のいずれかの読み方をし、それぞれの村民は数百年続く呼び名を呼吸をするのと同様に受け入れ、別の地方から来た人に言い間違えられると訂正してみせる。「〇〇そんではなく、〇〇むらですよ」といった具合に。

 秋田県北部に上小阿仁村がある。「かみこあにむら」と読む。秋田県人なら、これを「かみこあにそん」と読むことは絶対にない。そもそも「そん」と読む村は、秋田県内には存在しない。対極的なのが沖縄県だ。沖縄には「むら」と読む村は存在しない。例えば、読谷村。「よみたんそん」を土地の人は誰も「よみたんむら」とは読まない。それぞれの村民が譲れない確固たる呼び名であるからにほからない。「あきたいぬ」も同様で、全国の圧倒的多くの皆さんが「あきたけん」と読み間違えようが、「あきたいぬ」以外に正しい読み方は存在しない。

 当クラブの「犬(いぬ)と犬(けん)」の内容をご納得いただけるかどうかは、当然のことながら読者の皆さんの受け止め方であろう。しかし、今回のブログのような書き方をされることによって、書かれた側が社会にどう認識されるのか、場合によってはどのようにダメージを受けのるかを熟慮しないまま、「思ったことをそのままブログでぶちあげる」という行為に対し、皆さんはどう思われるだろうか。そのブログを読んだ後、「ハチ公クラブは反論を許さない、高飛車な団体と思われかねないですよね」と心配してくれたお客様もおられた。

 秋田犬を「いぬ」と呼ぶか、「けん」と呼ぶか。「むー」が強い関心を持ちつつブログを仕上げたなら、理解の範疇に入らないでもない。しかし、「まあ、どっちでもいいんだけど」という程度にもかかわらず、当クラブの文面を勝手にやり玉にあげるのは社会人としていかがなものか。 

「むー」はブログ内で、NHKは秋田犬について「いぬ」も「けん」も許容する趣旨の内容をある種、"論理的逃げ道"として取り上げている。さながら、それは「NHKだって、そう言ってるやん」と言わんばかりである。

 「むー」がブログ内に貼り付けたNHK放送文化研究所の、

https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/gimon/079.html

 上記ページを熟読したが、これまた何ともお粗末な内容だ。秋田犬を何と呼ぶかについて、首都圏在住の16歳以上の男女を対象に調査した結果、「けん」と呼ぶ人が95%もいたため、NHKとしては「いぬ」でも「けん」でもどちらで呼んでもいいと判断した、との短絡的解釈。そう呼ぶのが正しいかどうかは問題ではなく、最も楽な「数の論理」に逃げ込んでいる。そうすることによって、ニュースやドキュメンタリーなどで秋田犬を取り上げた場合、呼び方について視聴者の問い合わせや苦情にいちいち釈明する煩わしさからも解放される。

 そもそも、なぜ調査エリアが首都圏だけなのか。首都圏ではなく東北で調査をすれば、結果は完全に逆転する。例えば、秋田、青森なら95%以上、それ以外の4県なら70%以上が「あきたいぬと呼ぶ」と推察できるように、どこで調査するかで結果は白と黒ほど異なる。

  ちなみに、NHK秋田放送局は1年のうちに何度も秋田犬を取り上げるが、筆者が知る限り、ニュースを読み上げるアナウンサーですら1度も「あきたけん」と表現したことはない。秋田県に住んでみて、彼らアナウンサーや記者たちが「あきたいぬ」が正しい呼び名であることを身をもって知ったからにほかならない。

 にもかかわらず、NHK"本家"は「どちらで呼んでも構わない」と社会に発し続けている。同組織内でありながら、このようなギャップ、矛盾は理解に苦しむ。かつ、それによって全国のどれだけ多くの皆さんに秋田犬の呼び方について誤解を与えているかを、NHKは何一つ理解していない。あるいは「NHKが黒と言えば黒、白と言えば白なんだ」との、報道機関の絶対王者的プライドの高さが根底にあるのか。

 当クラブの「犬(いぬ)と犬(けん)」でも、

 秋田県以外に住んでおられる、秋田犬飼育者ではない、いわゆる素人さんは「あきたいぬ」ではなく「あきたけん」と呼ぶ方が多いようです。事実、当クラブを通じて初めて秋田犬を購入なさる素人の方は10人中ほぼ全員が「あきたけんの子がほしいのですが」と切り出します。

 と述べたように、秋田犬発祥地の大館市をはじめとする秋田県人以外の皆さんの圧倒的多くは、「あきたいぬ」が正式な呼び名であることの認識が乏しいがゆえに、「あきたけん」と呼んでしまう。だから、NHKがわざわざ「調査をした」などとうたわなくても、首都圏在住ならほとんどの方が「あきたけん」と誤認することは判りきっている。それは 甲斐犬、紀州犬、北海道犬ら、いずれも「けん」で呼ぶ他の日本犬と同一線上の呼び名と解釈してしまっているため、と推察できる。

 NHKはそもそも、何人を対象に調査したのか。10人なのか、100人なのか、1,000人なのか、それすら明かしていない。母集団の規模を知る上で、回答者数を明示するのが鉄則であるにもかかわらず、NHKは当該ページでこの点にまったく触れていない。

 以上の背景から、NHKは公共放送として正しい表現方法の模範を示さなくてはならないにもかかわらず、秋田犬の呼び名1つとっても楽な方向に逃げているとしか言いようがない。付け加えるなら、「紐解く・繙く」=ひもとく=について全国の視聴者が「その使い方、間違ってますよ」と指摘しているにもかかわらず、NHKは今でも何ら各部署に伝達することなくさまざまな番組で「紐解く・繙く」を"乱発"しているのと、「秋田犬の呼び名はどちらでもよい」という姿勢は酷似している。 

 話は少し横道に逸れたが、「むー」が「まあ、どっちでもいいんだけど」と言いつつ、「今まで『あきたけん』と呼んできたし、これからも『あきたけん』と呼ぶ」のは勝手である。ただ、書かれた側、つまり当クラブが意図する内容に対して的外れな感想を、ブログをとおして社会に公言することでどのような影響を及ぼすのか、最低限、この点だけはきちんと熟考した上で、今後は多くの人の共感を得られるようなブログを書いていただきたいものである。

※注釈=このページの主軸となる部分は「むー」なる人物やNHKの糾弾ではなく、「あきたいぬ」と呼ぶことの正しさをあらためて説明させていただいた部分です。また、全国の秋田犬ファンの皆さんに「これからは『あきたいぬ』と呼んでください」とお願いしているものでもなく、どう呼ぶかは当然のことながらそれぞれの皆さんの自由ですので、この点、誤解なきようお願いいたします。   

HOME