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当クラブから秋田犬の子をお迎えいただいたお客様で最も多い生後日数は、50〜60日でしょう。次いで80〜90日ですが、50日以降の子と80日以降の子のいずれをお迎えになるにしても、新たな家族を迎えた皆様は"ある洗礼"を受けます。 生後50〜60日の子は、親やきょうだいから突然引き離されたことへのショックや寂しさのため、お迎え当日から2、3日間、夜鳴き、時には日中も鳴き続ける子がいます。一方、80〜90日は夜鳴き傾向はほとんどなくなりますが、やんちゃな日数に突入しているため、甘噛みをしたがったり、いたずらをする子がおります。いたずらの一例を挙げると、もちろんどこで過ごしているかにもよりますが、ふだん使っている靴やサンダルなどをぼろぼろにしたり隠したり、などがあります。生後50〜60日に比べてかなり活動的に動き回りますし、ドッグフードを食べる量も俄然多くなります。 生後50〜60日の子の夜鳴きには、よほど寛大でないと「もう我慢できない。秋田犬を迎えたことを後悔している」ということにもなりかねません。そこで今回は、夜鳴きを少しでも緩和する方法をご紹介しましょう。 複数のページで触れていますが、まず試みていただきたいのは「夜はその子が見える位置で寝てあげる」という方法です。子犬は、とにかく寂しくて不安で、たまらないのです。バリケンやケージに入れたままそばにいてあげるだけでも子犬によっては効果を期待できますが、最も良いのはスキンシップでしょう。ただ、バリケンなどから出してあげると、結局朝方までつきあってあげなくてはならないことにもなりますので、「今夜は寝ないでこの子のそばにいる」ぐらいの覚悟が必要です。 続いてご紹介したいのは、購入の際に母犬のにおいが付着したタオル、バスタオルなどを得て、子犬のそばに置いてあげる方法です。それを噛んだり、時にはぼろぼろにすることもありますが、いくぶん寂しさが紛れて夜鳴きをせずに寝てくれる子もおります。子犬旅立ちの際に、母犬の体をタオルなどでごしごしこすってにおいを付けてもらい、それをいただいてくると良いでしょう。 ただ、前述の2点の方法でもまったく効果なしの、ノンストップで声を張り上げる"お手上げ"の子もいます。家族を寝かせてくれないばかりか、住宅密集地など立地によっては近所迷惑にもなります。そこで、"最後の手段"をご紹介しますが、これは鳴きやませる方法ではなく、近所迷惑を少しでも軽減する方法です。つまり、ナチュラルな方法で寝かせる方法は前述の2点以外、効果を期待できる手段はなかなか見つからないということです。 夜鳴きの最中に近所迷惑を軽減する方法は、子犬をバリケンやケージに入れたまま自家用車の中に置くだけです。車両の構造や車体の厚みなどによってどの程度の防音効果があるかはまちまちですが、軽トラック以外は鳴き声が50〜70%の幅で軽減されるでしょう。試してみればお分かりですが、「声が低くなった」と感じられる方が多いと思います。 この方法は夜鳴きをしなくなる日数まで続けざるを得ないわけですが、真夏の暑い盛りですと、熱中症で生命の危機に陥りかねませんので、車内にいる間中、エアコンをつけてあげる必要がありますので、それなりの"コスト"を要するほか、排気ガスが車内が入らないか、といった点でも細心の注意を払う必要があります。また、車内で過ごす間、バリケン、ケージ内に糞便をする可能性がきわめて高いですので、翌朝、車のドアを開けるとムッとした臭いがすることもあり得ますので、換気が必須です。 なお、このコーナーで触れたのは、50〜60日の子は「1日から数日の幅で夜鳴きをする可能性が高い」ということで、中には初日から手がかからずすやすや寝てくれる子が少数派ながらおります。また、"先住犬"がいる場合は、そのそばで寝かせることで顕著な効果があったりもします。 冒頭で触れた"ある洗礼"とは、50〜60日の子は夜鳴き、80〜90日の子は甘噛みやいたずらを意味しますが、秋田犬との暮らしを始めたならそれらすべてを受け入れるお気持ちを持つことが肝要で、「この大変さは今だけ」と割り切ることが大切です。
どうしても夜鳴きをやめない子は、近所迷惑を軽減する意味で車内に入れるのも、ある程度有効な手段です。 |