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海外旅立ち前に1

 秋田犬をはじめ、犬を海外へ旅立たせるにはいくつかの手順があり、初めての際はやや手間取ります。数枚の写真を紹介しながら、重要点をピックアップしてみましょう。

 最も大切なのは獣医師での処置。まず診断を受け、「この犬は健康面で問題ありません」と保証してもらいます。そして、マイクロチップの装着、混合ワクチンの接種、狂犬病の予防注射のほか、必要に応じてX線撮影をすることもあります。

 それらが完了したら、獣医師の署名、捺印を得た「狂犬病予防法及び家畜伝染病予防法に基づく犬の輸出検査申請書」を、到着国の動物検疫所に提示するための健康証明書(英文)などを添え、国際空港内の厚生労働省動物検疫所に提出します。

 例えば、狂犬病予防注射は生後91日以降に行い、日本に21日間(国によっては2週間)置いてから出国するのが一般的です。しかし、中には狂犬病抗体検査を受けてからでないと入国させない国もあります。これは、予防注射を受けた後にきちんと抗体ができたか否かを検査するもので、さらに相当日数を要します。

 このように、それぞれの国の動物検疫規則を事前に調べておかないと相手国への入国はもちろん、日本からの出国もおぼつかなくなりますので、疑問点は相手国の在日総領事館や日本国内の動物検疫所に問い合わせるなどして、万全を期しましょう。提出書類への記載方法などについて不安な場合は、同検疫所に事前に送付してチェックしてもらうのが得策です。

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 左の写真はマイクロチップを装着するところです。固体識別方法の一環で、マイクロチップによるのが一般的です。

 標識部位、つまりマイクロチップを装着する場所は首の後ろ部分が通例。

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 左の写真は、マイクロチップの装着を終え、リーダーで個体識別番号を表示しているところです。これは、マイクロチップを完ぺきに装着できたことを示しています。

 この犬には、392141000020977の番号が付与されました。

 マイクロチップは改正動物愛護管理法によって2022年6月から義務化されましたが、海外へ旅立つ場合はそれ以前から必要不可欠で、装着していない場合はそもそも動物検疫所による出国の許可がおりません。

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 左の写真は、混合ワクチンを接種しようとしているところです。

 含まれている生ワクチンの数などにより、混合ワクチンは何種類もあります。

 今回は、"京都微研"の8種混合ワクチン「キャナイン−8」。

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 左の写真は、混合ワクチンを接種しているところです。

 ちなみに、キャナイン−8は犬ジステンパー、犬伝染性肝炎、犬伝染性喉頭気管炎、犬パラインフルエンザ、犬パルボウイルス感染症、犬レプトスピラ感染症(コペンハーゲニー)、同(カニコーラ)、同(ヘブドマディス)をそれぞれ予防するワクチン。

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 左の写真は、股関節のX線撮影をしているところです。秋田犬を飼育しているヨーロッパ人は股関節が健全であるかどうかについて、かなり神経質で、「股関節が正常でなければ絶対に交配しない」と言います。その点が、日本人の熟練飼育者と認識が異なります。秋田犬を譲渡する際、日本ではX線撮影をする"慣習"はありません。従って、日本から欧州に送り出す際は、求められたらX線撮影をします。物々しい光景に見えますが、性格が穏やかな秋田犬は、このように寝かされてもうろたえません。

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 左の写真は、撮影したX線写真です。特に重要なのは、両脚の付け根のジョイント部分に隙間やズレが生じていないかという点。

 この写真では、接合部分がきちんと組まれており、健全であることが分かります。

 
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