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虎の眼色は、赤や白のそれとは異なります。ゆえに虎の場合、晴天時の展覧会では「その方向に立たせてはならない」鉄則があります。鉄則を理解しているのは、全国の熟練オーナーの中でほんの一握りかも知れませんが、立つ方向と審査員の力量次第で勝てる戦(いくさ)も負ける可能性がある重要なことです。 晴天時に審査員が眼前で審査を開始したら、赤毛や白毛の秋田犬は陽光を正面に浴びたらいいでしょうか。それとも、背にすべきでしょうか。または、違いはないでしょうか。答えは「違いはない」です。 では、虎の場合はどうか。日本で最も厳しい審査員として鳴らしたベテランオーナーが持論とする鉄則で、公開に対する了解が得られていないため"種明かし"はできませんが、虎は太陽の下で一定方向に立つと不利で、未熟な審査員が担当なら大きな減点対象にしかねません。虎のハンドラーが"太陽の鉄則"を知っているか、知らないかで明暗を分けかねないでしょう。 眼に関連し、虎毛の特性上、陽光に対して一定方向に立つことによって眼色が毛色に一層"埋没"してしまう、といった要素も虎特有の不利な点として挙げられます。 ここで正答を示さなくても、探究心旺盛な虎の飼育者なら、まず赤や白と眼色を比較してみるでしょう。異なることを十分認識できたら、今度は陽光を正面から浴びたり、背にしたりして眼色の変化を試し、結論を導き出せるはずです。ただ、真剣に観察しないと、誤った答を出しかねません。 展覧会で"頭"を獲るのは一朝一夕でできることではなく、最も大切なのは犬に対する深い愛情、次に真摯な探究心ではないでしょうか。優れた素質に恵まれた秋田犬の子を迎えたり作出できても、ダイヤの原石を真のダイヤへと磨き上げられるオーナーは、全国に数えるほどしかいません。特に、虎で全国制覇するにはよほどの忍耐が要ります。虎で勝負する者は、眼色の特性さえも知り尽くす。その先に勝利が見えてくる、ということになろうかと思います。 ※このページの掲載内容はあくまで、虎で勝負をする皆さんのヒントにしていただくために公開したものです。「どうやったらいいのですか?」などの問い合わせには、本文中にもその理由を示しているようにお答えできませんので、ご了承下さい。
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