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発育管理の失敗例


 このコーナーでは実際にあった事例をもとに、生後間もない子犬の発育管理のあり方について、少し論じてみましょう。ある秋田犬オーナーが、友人のオーナーから授乳中の子犬を1頭、譲り受けました。譲渡されたオーナーの犬舎では、譲り受けてきた子犬より1週間ほど後に生まれた子犬たちが、育っていました。そこに、やや大きくなった子犬が仲間入りしたわけですが、それがそもそもの誤りでした。

 秋田犬の授乳の様子や子犬たちがほぼ均等に育っている過程をみると、母犬は分け隔てなく子犬たちにお乳を与えているようですが、当然のことながら個体差があり、同じきょうだいでも体格に差が出ることがあります。また、ほかのきょうだいよりもともと小さく生まれたが故に、乳の吸いつきが悪く、結果的に1頭だけ小さい場合もあります。

 さて、前段に話を戻しましょう。約1週間早く生まれた1頭の子犬は、遅い子たちよりも体格がよいわけですからパワーがあり、ほかの子たちを押しのけて母乳を独占しました。その結果、よそから来た子はあれよあれよといううちに大きくなり、実の母犬から生まれた子たちは十分なお乳(栄養)を得られず、やがて大きい子との体格差はほんのわずかの間に2倍近くになってしまいました。ちなみに、小さい子たちは4頭です。そのいずれもが、発育不良に陥ったばかりか、飢餓状態のように下腹に膨張感すら出てきました。こうなってしまうと、骨や筋肉、細胞への栄養不足から、体が大きくなれない状態で成犬になる可能性もあります。

 これについて、当地の大ベテランはこうアドバイスします。「同じ母親から生まれたきょうだいたちですら体格差がつく場合があるのに、日数がより経過した子犬を混ぜてしまったら、大きい子に乳を吸い取られてしまうのは当然のこと。どのような事情で譲り受けたのであれ、授乳中の子たちの中に絶対に別の子を入れてはならない。発育バランスが崩れてしまう」と。

 長年秋田犬を飼育なさっている方なら、そのようなミスはおかさないでしょうが、何らかの事情でこうしたケースも絶対にないとはいえません。母犬によっては、別の子犬が混じると拒絶反応を示す犬もいる一方で、わが子同様に乳を与える犬もいます。いずれにせよ、子犬たちを健康な状態で育てあげるまでは、細心の注意を払うべきでしょう。

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