東京都の梅田貴載さんは、当クラブから迎えた白オスの子を福岡市に住むご両親に贈った。その子は、くま号と名づけられ、やがてたくましく成長した。梅田さんから届いた興味深い便りを、秋田犬ファンの皆さんにご紹介してみたい。以下が原文の一部である。
父がくま号と散歩をしておりましたところ、綱を解かれた大型洋犬(成犬)が急に、父に襲いかかって来たそうです。あまりに急な事なので、父も為す術なく呆然としておりましたところ、くま号が大型洋犬をなんと一咬みの元に捻じ伏せたというのです。 洋犬の飼い主が慌てて出て来られて、綱をし忘れた非礼を詫びたそうですが、自分より大きな犬が向かってきたにも関わらず父を護ろうとしたその態度に、洋犬の飼い主はしきりに感心されていたそうです。「さすがは秋田犬ですね」と。
下の写真が、梅田家の愛犬、くま号。彼が身を挺して護ってくれなければ、よもやの惨事を招いていたかも知れない。
秋田犬はかつて、クマを仕留める秋田県北部の猟師、マタギの供(とも)をしていた。一命をかけて、クマから主人を護った秋田犬も少なからずいたことだろう。 →
愛情ゆえの「忠犬」でも触れたが、ふだんはとても優しく穏やかなのに、眼前で主人が危機に直面すると、爆発的な力を発揮して護ろうとするところが、秋田犬にはある。今回の出来事で、梅田さんのくま号への愛情は一層深まったのではなかろうか。
写真をご覧いただいてもお分かりのように、本当に優しい眼をしている。秋田犬は主人の愛情の深浅を敏感に感じ取る。たっぷりと愛情を注いで日々接しているからこそ、くまは恩返しをしたのかも知れない。