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繁殖者の中には、秋田犬の母体を良好な状態で長く維持できる方と、あまり上手に管理できない方がおります。このページでは、いかにしたら繁殖が可能な母体として長く維持し得るかについて、少し論じてみましょう。 出産を控えたメスがいる場合、母体のためにしてあげた方が良い準備があります。出産前に、与える水分を真水から牛乳に切り替えること。牛乳は母乳の原料となりますので、切り替えることによって生まれた子たちに濃厚で豊富な母乳を与えることができます。子犬が生まれても母犬に水を与えるだけにしているのと、牛乳に切り替えるのとでは、子犬の成育にも少なからず違いが出ます。 一方、誕生後に重要なのは、産まれた子犬たちを母親から引き離し、別の犬舎に入れるタイミングです。生後40日ぐらいになったら、子犬たちだけの暮らしをさせ、乳離れを促しましょう。それによって子犬たちに、自立と社会性を育(はぐく)ませます。この時点で、ドッグフードに移行します。 ドッグフードの与え方は「餌の与え方」のページに記載しておりますが、当地の熟練飼育者の例を挙げますと、ドッグフードをそのまま乾燥状態で与えることはしません。粒が壊れない程度にぬるま湯でふやかしてあげた方が、胃に優しく、水分補給の観点からも望ましいためです。さらに、母犬から離された子犬たちには、生後60日ぐらいまでドッグフードに牛乳を混ぜて与えると、食欲増進、発育促進の効果があります。 なお、牛乳については、母犬、子犬とも、与えたことによって下痢をするようであれば、与えるのをやめます。乳糖分解酵素の有無が、下痢をするか否かに大きく影響します。乳糖分解酵素がない母犬、子犬であることが判明したら、犬専用乳製品を試用してみるのも1つの方法でしょう。 だらだら母犬と暮らす期間が長いと、子犬は母乳をもらおうとする行為をなかなかやめませんので、徐々に母乳が枯渇しつつある母犬の乳首に負担がかかったり、外傷を受けることもあります。中には、生後80日以上になっても母犬と同じ犬舎で暮らさせている繁殖者がいますが、こうした状況は母犬を疲弊させ、母犬は痩せた状態からなかなか回復できませんし、出産可能年数も短くなります。 子犬の自立期を早めることで、母犬は一定以上に痩せることはありませんし、出産以前の体格に戻るのも早いです。また、こうした方法を習慣づけることにより、健康な秋田犬なら8歳ぐらいまで交配、出産が可能となります。母体が過度に"磨耗"していないためです。 最後に、1枚の写真(下)をご紹介しましょう。この犬のオーナーは、前述のことを長い間実践してきました。生後約40日に子犬たちは、数メートル離れた犬舎に移っています。母犬に子育て後の憔悴感はまったくみられず、むしろ全身から力強ささえ感じられます。この方法を実践すると、次回の交配、出産も十分な体力で早く行うことができ、母犬の長寿にもつながります。 |