完成度の高い秋田犬の置き物には、残念ながらほとんどお目にかかることができない。日本国内で製造され、ネット上で販売されているものも「忠実に表現されていない」と思ってしまう。一方、海外に目を投じてみると、米国や欧州などで「日本の秋田犬」として作品(商品)をネット上で公開しているが、そのすべてがシェパード色であったり、斑(ブチ)であったり、顔が真っ黒であったりと、典型的な「アメリカンアキタ」を「日本の秋田犬」と思い込んで製造したものばかりである。そこで、当クラブは「非売品」で完成度の高いものがあるのではないか、と"発掘"してみた。このコーナーでは、大館市内で見つけた数点の作品を秋田犬ファンの皆さんにご紹介したい。いずれも作者にたどり着かないが、秋田犬特有の風情がよく表現されていると思う。

"発掘者"が最も気に入ったのが、この作品である。眼の形が狛(こま)犬っぽくなくもないが、姿、形が巧みに表現されている。毛並みのディティールにこだわったところも、うならせてくれる。下の2点は、左が正面から、右が側(裏)面からそれぞれ撮影したものである。高さは15センチほどだったが、手にしてみるとずっしりとした重さが安定感を感じさせた。

こちらは、秋田県の県展の入選作。大館市のベテラン秋田犬オーナーが気に入り、入選後直ちに購入したという。台座を含む高さは、30センチほどもあろうか。このコーナーで紹介した中では唯一の木彫りで、木独特の温もりを感じさせる。