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退化色を改善

 秋田犬の重要な要素の一つに、色があります。赤、虎、白の基本的な3色の中で色の重視度が最も高いのは虎ですが、赤も色をおざなりにはできません。このコーナーでは、赤を中心に繁殖する熟練者が時おり陥るジレンマに少し触れてみましょう。

 ベテランの皆さんはご存知と思いますが、「退化色」という表現があります。「良い色の赤が生まれなくなった」と感ずることはないでしょうか。適度な赤ではなく、俗に「焼け赤」と呼ばれる濃い赤や、逆に薄い赤になった場合、「退化色」と呼びます。

 ではなぜ、誕生した子に退化色が出るのでしょうか。赤の子犬が数頭生まれ、そのすべてが退化色だったとします。父母の血統書を隅々までご覧ください。赤同士の交配を繰り返してきませんでしたか。当地の大ベテランは、こうアドバイスします。「赤同士だけの交配を続けると、退化色の子が生まれる可能性が高い」。

 では、どうすれば適度な赤に戻せるのでしょうか。研究熱心な赤専門の繁殖者は恐らく、解決策を提示できるでしょう。しかし、漫然と繁殖してきたオーナーは、数十年の繁殖経験があっても、回答にたどりつきません。

 答えは、1度白を入れること。つまり、白と交配することです。白を1度交配したからといって100%退化色が改善されると断言はできませんが、適度な赤が生まれる確率は俄然高まります。

 当地、大館市で開かれた本部展会場で、ベテラン同士らしい他県の方々がこんな会話をしていました。ある人が、出陳中の犬を見て「濃い赤だなあ」と言いました。それに対してもう一方が、「今は色が薄くなる傾向がある。あれぐらい濃い方がいいんだよ」と。

 はたして、そうでしょうか。濃いも薄いも退化色という点では、五十歩百歩です。「あれぐらい濃い方がいい」という考えを持つと、濃色を作ることを良しとしてしまいます。犬質向上のためにも、濃くもない薄くもない適度な赤を作出するよう心がけたいものです。

 最後に、適度な赤の秋田犬を、写真(下)でご紹介しましょう。この犬は色だけではなく多くの点で優れており、何人もの審査員から「本部展に出陳すれば、名誉章の筆頭で名を呼ばれるのになぜ出さないのですか」と残念がらせている、秋田県が全国に誇る傑作です。色は無論、全身からにじみ出る風格をご覧ください。

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