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立ち込みの練習

 以前は、当クラブから素質に恵まれた子をお迎えになる皆さんのほとんどが、展覧会への参加に興味のない方々で占められていましたが、最近は少しずつ、「これほど優れた子を迎えたのだから出陳して上位入賞を目指したい」という方も出てきております。

 とはいえ、たとえ優れた素質をもつ秋田犬を迎えても、会場で綱を持ちさえすれば1席を獲れるなどという甘い世界ではありません。本部展を最高峰とする秋田犬展覧会は、まさに"人犬一体"の晴れ舞台ですので、キャリア数10年の大ベテランたちも1席を目指し、涙ぐましいほどの努力を積み重ねているわけです。

 といって、当地から優れた子を迎えた新米オーナーの皆さんがベテランたちを相手にまったく勝てないのでは面白くありませんので、このコーナーでは勝敗を左右するほど重要な立ち込みの練習についてのノーハウを、ほんの少しだけ公開しましょう。

 当クラブからお迎えになる皆さんの子犬の生後日数は50-70日が最も多いですが、迎えてすぐに立ち込みの練習をする必要はありません。遊びたい盛りですので、そもそもきれいに立ってはくれません。ですから、自由に遊ばせるのが基本です。

 生後150日ぐらいになったら、そろそろ立ち込みの練習を開始するわけですが、どのようなタイミングなら秋田犬はオーナーの意図を汲み取りながら立ってくれるのでしょうか。空腹時に行えばいいのでしょうか。それとも食餌をして落ち着いてから行ったらいいのでしょうか。 

 最も好ましくないのが、空腹時です。お腹が空いているため、どことなくそわそわし、良い立ち姿は期待できません。展覧会場ではむしろ空腹のまま、あるいはほんの少し食べただけで出陳するのが普通ですが、それでもすばらしい雄姿を披露するのは練習の積み重ねの賜物です。

 ということで、ふだんの練習は空腹時には行いません。では、いつ行ったら最良なのでしょうか。運動(散歩を含む)後に食餌を摂って、10-20分程度休憩をしてから始めます。十分食べた後なため、空腹時よりは精神状態がずっと安定しており、飼育者の言うことを聞きやすくなります。

 次に、どれぐらいの時間、立ち込み練習をするのか。1日(1回)にほんの5分から10分で十分です。それ以上やろうとすると、犬の方が飽きます。わずかな時間ですが、これを365日、毎日欠かさないのが秋田犬に「自分は舞台で立つ」という意識を刷り込むコツです。

 しかし、肝心の飼育者がハンドラー技術を何も持たないまま我流で引き綱を持っても、上達するはずはありません。技術を身につけるには、展覧会で勝っているベテランに学ぶのが、理想的です。では、どうするのか。最寄りの展覧会場に見学に出向いて、1席を獲るオーナー(ハンドラー)がどうやって綱をさばいているかを、じっくりと観察します。「この人はすばらしい技術の持ち主だ」と感じたら、勇気をもってそのハンドラーに会場で声をかけてみましょう。

 開放的な相手だったら、それがきっかけで親しくしてくれるかも知れません。そうしたら、しめたものです。あとは、交流を深めていって教えを請うことです。そのためには、会場に手持ちの優秀犬を連れて行くのが必須です。相手は「いい犬を持ってるねえ」と感心し、心を開いてくれるはずです。

 どうしても良いオーナー(ハンドラー)と知りあえなかったら、ビデオカメラを展覧会場に持参してじっくりと撮影し、何度も再生してみましょう。重ねて観ているうちに、綱を持つのに上手な人と下手な人の違いが少しずつ見えてくるはずです。上手と思えるやり方を、真似てみましょう。

 この段階ではまだ誰からも実地で学んではいませんので、所詮、真似にすぎません。立ち込み技術を上達させるには一にも二にも、優れたハンドラーからノーハウを学ぶこと。それ以外に腕を磨く最良の方法はないでしょう。 

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安定した立ち方を会得するには、たゆまない努力と研究が必要です

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