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わさおに会う・嫁編

 2014年8月下旬、"妻帯者"となったわさおに会ってきた。わさおを取り上げるコーナーはこれで第3弾となり、いささかシリーズじみてきた。彼を一目見ようという人たちに、おいそれとは迎合しない姿勢。そこに彼の個性があるのかも知れない。わさおが暮らす青森県鯵ケ沢に足を運ぶにつれ、そう思えるようになってきた。

 民放テレビの動物バラエティー番組が半ば継続的に彼を紹介してきたことも影響してか、平日にもかかわらず、わさおの見物客は以前よりも増え、ひっきりなしという印象すら与える。まさに、スター並みである。今回は、新たに撮影した写真の中から5枚掲載し、これまでと同様、筆者が感じたままを述べてみたい。

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 写真では伝わらないかも知れないが、肉眼では、わさおは齢を重ねるにつれて徐々に赤毛の色合いが強まってきたように感ずる。両親ともに赤毛でも、祖父母あるいはそれ以前に白毛の血が入っていれば、白毛が生まれることはある。ここまで赤色が強まってくると、わさおは両親とも赤毛なのではないか、と思えてくる。無論、これはマニアックな観点で、見物客などにすれば「両親の色などどうでもいい。ただ、有名なわさおに会いたいだけ」となろう。

 

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相変わらず、わさおは唐突に態度を豹変させる。見物客などまったく関心がないかのように、背中を向けて寝ていたかと思えば、いきなり立ち上がり、何かに腹を立てたように吠える。吠える姿を見て、見物客の一人が柵越しに問いかけた。「わさお。どうしたの、何を怒ってるの?」。何に対して吠えたてているのか、彼がヒントを与えることなどない。一ついえるのは、見物客に向かって吠えているのではなく、どこか遠くを眺望しつつ吠えていること。目的意識があってのことだろうから、対象は厳然と存在するのであろう。自分たちがそれに気づかないだけ、と思える

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 "妻"のつばき。耳の向きから、いささか緊張しているのが判る。いかに多くの観光客が来ても、「われ関せず」と気にも留めないわさおとは対照的に、つばきは繊細な神経の持ち主と察せられる。撮影中、一歩もケージから出ることはなかった。再びマニアックな話だが、つばきは赤毛の名残がどこにも見当たらないことからして、両親とも白毛か、いずれかが虎毛と推察される。成長した白秋田犬の鼻のほとんどは小豆色だが、つばきは黒く見える。白毛でありながら黒または限りなく黒に近い鼻色だとすれば珍しく、それが締りの良い顔立ちに見せている。下の写真、わさおとつばきの鼻色を見比べても、その違いが判る。

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 撮影中、"夫婦"はずっとこの距離感を保っていた。
1日のうちにそうした機会はあるのかも知れないが、少なくともスキンシップの光景を見ることはなかった。無論、むやみに妊娠しないよう配慮した位置関係であろうが、「付かず離れず」の距離感が面白い。何とはなしに、長年連れ添った熟年夫婦のごとき空気を漂わせていた。

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 「わさおのお嫁さん」と、極太のマジック書きで紹介している。ベテラン飼育者の世界では、メスを「お嫁さん」などと表現することはほとんどないが、全国に知られるわさおの相手となると、ともに暮らすメスはやはり「お嫁さん」と呼んだ方がドラマ性に富む。さすがに、津軽の人は"ツボ"を心得ている。

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