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虎の額の白線

 虎、赤、白の基本的な3色のうち、誕生直後から一般的な旅立ちの時期となる50-60日の間に模様が最も変わりやすいのが虎です。そこでこのコーナーでは、虎の前頭のアクセント部分とも言える額の白線について論じてみましょう。

 虎の場合、額の線が太いもの、細いもの、まったくないものの3タイプに大別できます。これらの違いは展覧会ではそれほど重視されませんが、中には頭から白パンツをすっぽり被ったような虎もおり、そこまでいくと顔をはじめ全体的な品位を損ないかねないため、額の白線は適度な太さが良いでしょう。

 初めて虎をお迎えになる方の中には、稀に「額にきれいな線が入ったのをお願いします」という方もおりますが、虎の良し悪しは額の白線で決まるわけではありませんので、ほとんどの方は当クラブに一任なさいます。

 では、本題に入りましょう。虎の額の白線は旅立ち日数に至るまでの間に、太さがほとんど変わらないもの、徐々に細くなっていくもの、ほとんど消えかけるもの、の3種類に分けられます。細くなっていく場合は、何が原因なのでしょうか。

 白線がどのように変化するのか、誕生直後に見分ける方法があります。口を取り囲んでいる白毛の面積が大きな影響を与えます。写真で説明してみましょう。すぐ下の左右写真は同じ子で、向かって右の写真は生後1週間程度の目が開く前のものです。そして左は、生後約45日です。

 右の写真の額の線は太いのに、それから30数日の間に左の写真のように細くなりました。この子の場合、口の周囲の白毛の部分が広いため、額の白線は消えずに持ちこたえました。もし口の周囲の白毛の面積が小さければ、45日程度の時にはぐっと細くなり、いずれ消える可能性が高いです。しかしこの子は、口の周囲の白毛多かったことにより、成長しても白線はなくなりません。

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 一方、下の写真は上とは別の犬ですが、この2枚も左右同一の子です。向かって右は目が開いて間もなく、左の写真は旅立ち直前の生後50日程度です。ご覧のように、誕生直後は額に太い白線を持っていましたが、旅立ちのころには先に説明した子よりも細くなりました。これは、口の周囲の白毛の面積が小さいためです。しかし、誕生直後に持っていた白線がもともと太いため、白線は持ちこたえました。この子もこれから先、額の白線が消えることはありません。

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 以上のように、額の白線にきわめて大きな影響を与えるのは、口の周囲の白毛の面積であることがお分かりになるでしょう。それからしますと、口の周囲の白毛の面積がもともと小さく、かつ額の線が細く生まれた子はいずれ消えてなくなる可能性が高いということになります。逆に、口の周囲の白毛の面積がもともと大きく、額の線も太く生まれた子は生涯太いまま残るという"理論"が成り立ちます。しかし、生命の神秘は不思議なもので、絶対にそうかと言えば100%そうだと断言できるものではなく、個々によって体質、毛質の特性などに違いがありますので、あくまでその可能性が高いということです。

 当地では、熟練者の間で口の周囲から額の白線にかけてを「サク」と呼びます。「サクが大きい」と言えば、口から額にかけた白い面積が大きいこと、「サクが小さい」と言えば逆を意味します。この表現は、白の犬の場合は使われませんが、赤の場合は口の周囲とそれに連なる上部の白毛を中心に「サク」と呼びます。

 
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