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成年期と高齢期

 青年期に大切なことの続編となるこのコーナーでは、2歳〜8歳の成年期と8歳以降の高齢期にあたる秋田犬の飼育面での留意点を論じてみたいと思います。成年期は人間の成人と同様、おとなですので、自己主張が明確になるため、幼、少、青年期以上に飼育者にはリーダーシップが求められます。

 また、個体差はあるものの、おおむね6歳あたりから生活習慣病が出やすくなりますので、糖尿病予防のために肥満にさせないなど日々の観察がさらに必要といえるでしょう。とりわけ、去勢(オス)、避妊(メス)によって中性化した場合は、しない場合に比べて一層肥満傾向が強まりますので、食餌と運動の管理には細心の注意をしなくてはなりません。年に1度の健康診断も健康維持、長寿に向けて欠かせないものとなります。

 そして、8歳以降の高齢期。生後60日前後の子犬を家族の一員にしたころは「8歳なんて、ずっと先」と思うかも知れませんが、秋田犬との暮らしが楽しく充実したものであればあるほど、8年など「光陰矢の如し」ですぐにやって来ます。

 赤毛の秋田犬の場合、高齢期に入ると赤色のトーンが弱まってきます。これは、人間の黒髪に白髪が混じってくるのと同様、被毛が白っぽくなってくるためで、薄赤で産まれた秋田犬などは晩年には全身白毛に近い薄クリーム色に変化することも少なくありません。

 また、動作が鈍くなる、視力や聴力が衰えるなどの老化現象が出てくるのは、人間と何ら変わりません。必ずしも高齢期に限って、というわけではありませんが、認知症を患うことも想定しておかなくてはなりません。

 さて、高齢期の散歩について、秋田犬と暮らしている皆さんはどのようになさっているでしょうか。「あれほど散歩が好きだったのに、とても面倒くさがるようになった」との声も、高齢秋田犬と生活をともにしている皆さんから少なからず聞かれます。

 高齢期を迎えた秋田犬を、無理に散歩に連れ出す必要はありません。といって、まったくしないのではなく、消化促進、認知症や糖尿病の各予防などいくつかの観点から、朝夕5分ずつの短い時間でも結構ですので軽く外に出してあげる方が「食っちゃ寝」状態より何倍も健康、長寿に貢献します。その際、無理やり外に連れ出すのではなく、「その気にさせる」というのがきわめて重要です。

 晩年など足腰も弱って最後には完全に散歩できなくなる秋田犬が他犬種と同様少なくありませんが、1日でも長く軽い運動や遊び環境を維持できれば、結果、1日でも長く家族の一員として生きられる、と同クラブは考えます。

 秋田犬の一生の中で健康管理に最も心を砕くべき時期も高齢期ですので、年に1度の健康診断は最重要となります。健康診断を受けていない秋田犬ほど、がんを含む内臓疾患で緊急手術を受けなくてはならないケースが少なくないとの情報を同クラブは全国の皆さんから得ております。

 高齢期の健康と長寿に直結するのは、日々の観察と健康診断であることを肝に銘じ、愛犬が少しでも長くご家族と暮らせることを祈りつつ、秋田犬のライフサイクルに関するコーナーを終了いたします。

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