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少年期に大切なこと

 幼年期と社会期の続編となるこのコーナーでは、少年期を迎えた秋田犬の飼育面での留意点を論じてみたいと思います。生後90日から6カ月を目安とする少年期について最初に触れるべきことは、狂犬病の予防注射でしょう。狂犬病予防法では、生後90日以内に接種しても注射済票が交付されないばかりか、ワクチンの効果も期待できません。従って、少年期に入った生後91日以降に接種するのが通例です。

 ちなみに、国内では昭和32年(1957年)以降、海外渡航者以外、狂犬病は発生していません。しかし、世界では毎年5万5,000人以上が狂犬病で亡くなっており、未発生は日本、オーストラリアなど一部の国や地域に限られています。

 このため秋田犬の世界でも「しなくても大丈夫だろう」と甘く考え、比較的高齢の多頭飼育者を中心に予防注射をしないケースが今でもみられます。加えて、一般の飼育者も犬種に限らず愛犬への接種を怠る事例が散見され、厚生労働省の令和元年度調査(年度末現在)による狂犬病予防注射率全国最高は唯一90%を超えている山形県の90.6%、最低は沖縄県の51.6%と著しい差があります。

 全国平均も71.3%どまりと、犬飼育者の約3割が愛犬への接種を怠っています。平成7年ごろまでほぼ100%だった注射率は、飼育者の認識低下などから今は7割余にとどまる状況の中、せめて秋田犬飼育者の皆さんには手本となるべく完全接種を目指していただきたいものです。

 参考までに、生後91日以降の子を家族の一員にする皆さんは迎えてから30日以内に市役所、区役所、役場に出向いて犬の登録をすることも義務づけられています。狂犬病予防注射と同様、多頭飼育者を中心に秋田犬のベテランの中には登録をしていない人たちもいますが、未登録犬は捕獲対象になることを肝に銘じておく必要があるでしょう。

 さて、幼年期と社会期では歯磨き、シャンプー、爪切り、ブラッシングなどいわゆる「グルーミング」の習慣づけをすることの大切さに触れました。補足すると、幼年期では汚れがひどくない限りシャンプーをする必要はなく、本格的に開始するのは少年期に入ってからです。また、幼年期での散歩は朝夕またはそのいずれか数分程度、自宅前に出る程度にとどめ、体力がついて骨格も安定してきた少年期に始めることをお奨めいたします。

 少年期は、歯の生え替わり時期です。秋田犬を含む犬の乳歯は生後90日ごろから抜け始め、同6カ月ごろにかけて完了し、28本しかなかった乳歯が42本の永久歯へと本数も格段に増えます。この期間、他犬種同様、秋田犬の子もやたらと甘噛みをしたがります。悪気があってやるのでは無論ありませんが、犬の噛む力は人の100倍以上ありますので、たとえ甘噛みとはいえ痛いです。

 そのような時は露骨に叱りつけるのではなく、飲み込んだりする危険性のない犬用のおもちゃを与え、生え替わりに伴うむず痒さなどから気をそらさせましょう。むず痒いからといって、家具など手当たり次第噛む癖はつけたくないものです。また、飼育者とその家族への甘噛みを常習的に許すと、悪気なく歯の生え替わり後も継続する可能性がありますので、注意が必要です。

 歯の生え替わりの進み具合を時おり観察してあげることは、永久歯への移行過程を確認する上でも重要です。もし生後1年ほどになっても乳歯のまま残っている歯があれば「乳歯遺残」となります。歯周病などのリスクが高まり、将来的に歯の健康を脅かしますので、動物病院で抜いてもらいましょう。

 なお、家族の一員となった子に先天性の疾患がある場合は、少年期にその症状が現れ始めますので、日々の様子をよく観察する必要があります。当クラブも、少年期にてんかんの症状をみせた秋田犬を複数確認しましたが、散歩中、側溝に転げ落ちるなど日常と異なる様子が見てとれます。幼年期に続いて少年期も飼育者がさまざまなことを観察、注意しなければならない重要な時期であることを、十分ご認識いただきたいと思います。 

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