当コラムでは先に「通」な呼び名(1)と題し、当地では秋田犬社団法人を「秋保」とは呼ばず「保存会」と表現する、と紹介した。当地ではもう一つ、「通」な呼び名がある。

　この団体が主催する展覧会は支部展、総支部展、本部展の3種類で構成されるが、当地の熟練者たちはこれらを総称して「大会」という表現をよく使う。無論、「大会」と表現しただけでは支部展なのか、総支部展なのか、本部展なのかが判然としないためそれぞれの呼称も使うが、例えば「この犬は大会用だ」などは代表的な言い回しの一つだ。

　また、「いずれこの犬は大会に出す」や「大会で入賞した犬だ」という表現もよく使う。つまり、それが支部展なのか、総支部展なのか、本部展なのかは別として総称的に「大会」という言い回しをすることにより、その犬のレベルを間接的に表現する意味合いを持たせている。

「これは大会用だから、それなりの値がつく」と、子犬を前にして犬仲間同士が交わすのは、当地では比較的よくみられる光景だ。当地から秋田犬の子を迎えようとする際、まったくの素人でも「この子は展覧会用ですか?」ではなく「この子は大会用ですか?」と訊ねたら、熟練者は「おっ、通だね」と思うことだろう。